両国の北斎美術館で開催されている北斎バードパークに行ってきた。
主に葛飾北斎が描いた鳥作品を集めた企画展である。

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鳥見の後なので大荷物。
しかもこの日は望遠鏡まで持って行ったのでいつにも増していた。
コインロッカーには預けられないので、受付で預かってもらえて助かった。

こちらが作品目録。

カメラもない時代。
江戸に住んでいた北斎が描く鳥だから、身近なスズメやツバメ、都鳥(ユリカモメ)やサギ、あるいはタカぐらいが登場するのかなと思っていた。


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ところがいきなりイスカだ。
江戸時代からよく知られていた鳥なのか。
しかし一緒に描かれているのはアザミ!?
アザミが咲く初夏~夏に冬鳥であるイスカがいるとは思えない。
また、普通、イスカと一緒に描くならマツだろう。
雪が被った松の上に、球果を咥えたイスカというのが我々バーダーが思い描くイスカだ。

考えてみれば、双眼鏡もない時代(望遠鏡はあったらしいが)北斎がフィールドでバードウォッチングしていたとは思えない。
当時は鳥ブームだったらしいから、カスミ網かなにかに捕らえられた鳥たちが江戸で売買されていて北斎もその鳥を入手し詳細にスケッチしたのだろう。
フィールドで見ているわけではないから、実際にイスカがいそうな樹木ではなく、絵として映えのある草花を組み合わせたと思われる。


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ツバメを描くのに、普通は空を飛び回る姿を描くだろう。
何故このような墜落みたいな姿を描くことにしたのか。
他にもモズやオオルリなど北斎はまるで撃ち落されて墜落するかのような姿で描いている。


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その最たるものがこのホトトギス。
夜にもよく鳴くホトトギスと月の組み合わせは納得だが、こんな姿勢で飛ぶホトトギスを見たことはない。


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90度回転させたこれなら分かるが。

何故北斎はこんな非現実的な演出をしたのか。
やはりこれは北斎らしい奇抜な発想の賜物だろう。

でも、もしかしたら本当に北斎が描いたようなツバメやホトトギスの姿が見られるのかもしれない。
いつかそれを目にして、これこそ北斎が描いた姿なのだ!と感動する日が来ることを願って鳥見を続けたいと思う。

(執筆:2023.5.7)